食べる順番は「野菜が先、ごはんは最後」——食後血糖の上がり方がやわらいだ
Health / Research Digest

食べる順番は「野菜が先、ごはんは最後」——食後血糖の上がり方がやわらいだ

同じ献立でも、食べる順番を変えるだけで食後血糖の上がり方が変わるようです。2型糖尿病の16人の実験では、炭水化物を最後に回すと、食後3時間の血糖の上がり分が53%小さくなりました。健康な人を含む研究でも向きは同じ。研究の範囲を確かめつつ、今日の食卓でできる形にまとめました。

昼に丼ものやカレーをかき込むと、午後に体が重くなる。

甘い物や炭水化物のあと、なんとなくだるい。

「量を減らさなきゃ」と思うけれど、我慢は続きません。

実は、減らす前に試せることがあります。同じ献立のまま、食べる「順番」を変えるだけ。

野菜を先に、ごはんを最後に。それだけで、食後の血糖の上がり方がやわらいだ研究があります。

炭水化物を「最後」にした日の数字

2017年、アメリカの研究チームが、食べる順番を入れ替えて血糖を測りました。

参加したのは、2型糖尿病の16人です。同じ食事を、日を変えて3つの順番で食べてもらいました。

  • 炭水化物が先(パンとジュースを先に)
  • 炭水化物が最後(野菜とタンパク質を先に)
  • 全部を一緒に(サンドイッチ)

結果は、はっきりしていました。

炭水化物を最後に回した日は、先に食べた日より、食後3時間の血糖の上がり分が53%小さくなっています。血糖のピークも54%低い値でした。

なぜ順番だけで変わるのか。研究では、野菜やタンパク質を先に食べると、GLP-1という腸から出るホルモンの反応が大きくなっていました。

このホルモンには、胃から腸への食べ物の移動をゆっくりにする働きがあると考えられています。糖がゆるやかに吸収されれば、血糖の急な山も低くなる、という筋書きです。

ただし、これは16人の実験です。しかも、その場の1食を測った急性の結果で、対象は糖尿病のある人でした。数字はそのまま誰にでも当てはまるものではありません。

健康な人でも、向きは同じだった

「糖尿病の人の話でしょう」と思うかもしれません。

日本の研究が、そうとも言い切れないことを示しています。

2013年、日本の研究チームが、糖尿病の19人と、血糖が正常な健康な21人を調べました。血糖を連続で記録する装置をつけ、「野菜を先に5分、そのあと主菜とごはん」という順番を試しています。

すると、血糖の振れ幅(上がり下がりの大きさ)が、糖尿病の人でも健康な人でも小さくなりました。

先に野菜、あとから炭水化物。日本で「ベジファースト」と呼ばれる食べ方です。効果の向きは、両方のグループで同じでした。

下の図は、同じ食事を順番だけ変えたときの、血糖の動きのイメージです。

食後の血糖の動きを2本の線で比べた図。横軸は食事のあとの時間、縦軸は血糖の上がり方。炭水化物を先に食べた線は食後60分ごろに高くとがった山をつくるが、野菜を先にしてごはんを最後にした線は山が低くゆるやかで、ピークの高さの差が縦の点線で示されている。
図: 順番を変えるだけで、食後血糖の山がゆるやかになる(概念図・当サイト作成)

見てのとおり、変えたのは献立ではなく、口に運ぶ順番だけです。

なお、この研究も参加者は合わせて40人。1食ごとの短い記録です。向きは確かめられていますが、決定版ではありません。

日本の食卓は、じつはやりやすい

うれしいことに、定食スタイルはこの食べ方と相性がいいのです。

トレーに小鉢が並ぶ和定食なら、置き換えはかんたんです。

  1. サラダ・おひたし・具だくさんの味噌汁など、野菜から箸をつける
  2. 次に、焼き魚・肉・卵・豆腐などのタンパク質
  3. ごはんは、いちばん最後に回す

難しいのは、炭水化物が主役の一皿です。丼もの、カレー、ラーメン、パスタ。これらは野菜と炭水化物が混ざっていて、順番を分けにくい。

そんなときは、先に一品足すと組み立てられます。

  • 定食にして、小鉢やサラダを先につける
  • 味噌汁やスープを先に飲む
  • 丼なら、上の具から先に食べる

もう一つ、あわせたいことがあります。早食いです。

かき込むと、順番のよさも薄れます。野菜から始めても、数十秒で流し込んでは効きにくい。ゆっくり食べることは、早食いをやめると、食べ過ぎが減るでも扱いました。順番とセットにすると、無理なく重なります。

今日の夕食から、ごはんを最後に

やることは1つ。ごはんを、食事の最後に回すだけです。

手順にすると、こうなります。

  1. まず野菜(サラダ・おひたし・味噌汁の具)に箸をつける
  2. 次にタンパク質(肉・魚・卵・豆腐)
  3. ごはん・パン・麺は最後
  4. 丼やカレーの日は、小鉢か味噌汁を先に一品

3食すべてをいきなり変えると、続きません。

まずは夕食の1回から。慣れたら昼にも広げる、くらいのゆるさで十分です。

外食でも応用できます。定食を選び、届いたらサラダや小鉢から。牛丼屋なら、みそ汁やサラダを付けて先に。

注意すること

大事な前提を、はっきり書いておきます。

これは「食後血糖の上がり方」がおだやかになった、という報告です。

やせる、糖尿病が治る、といった約束ではありません。しかも、少人数・その場の1食を測った研究が中心です。向きは複数の研究で一致していますが、確定した効果ではありません。

血糖を薬やインスリンで管理している人は、食事の内容やタイミングを変えると、血糖の動きが変わることがあります。取り入れる前に、必ず主治医に相談してください。妊娠中の方も同じです。

とはいえ、野菜を先に食べる習慣そのものは、食事のバランスを整える方向に働きます。過度に期待せず、気軽な工夫として取り入れてみてください。

体を動かす側からのアプローチは、健康の柱でも扱っています。食後の血糖が気になるなら、食後の散歩は『量より、いつ』と合わせると、食べ方と動き方の両面から整えられます。

今日の夕食、ごはんを最後に回すところから始めてみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. まず野菜(サラダ・おひたし・具だくさんの味噌汁)から食べ始める
  2. 次に肉・魚・卵・豆腐などのタンパク質を食べる
  3. ごはん・パン・麺は最後に回す
  4. 丼やカレーは、先に小鉢か味噌汁を1品つける
  5. まずは夕食の1回から。あわせて、よく噛んでゆっくり食べる
  6. 血糖を薬やインスリンで管理中の人は、食事を変える前に主治医へ相談する

出典・参考

  1. Shukla, A. P., Andono, J., Touhamy, S. H., et al. (2017) Carbohydrate-last meal pattern lowers postprandial glucose and insulin excursions in type 2 diabetes. BMJ Open Diabetes Research & Care, 5(1), e000440.pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Imai, S., Fukui, M., & Kajiyama, S. (2013) Eating vegetables before carbohydrates improves postprandial glucose excursions. Diabetic Medicine, 30(3), 370-372.pmc.ncbi.nlm.nih.gov

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。