目の疲れは「20-20-20ルール」で休ませる——20分ごとに20秒、遠くを見る
Health / Research Digest

目の疲れは「20-20-20ルール」で休ませる——20分ごとに20秒、遠くを見る

夕方になると目がしょぼしょぼして、画面の文字がかすむ。長く画面を見る人の多くが感じる目の疲れに、こまめな休憩をはさむ「20-20-20ルール」があります。20分ごとに約6m先を20秒見るこの習慣を、効果の限界も添えて研究からまとめました。

夕方の帰りの電車で、スマホの画面を見ていたとき。目の奥が重く、文字が少しかすんでくる。

気づけばまばたきが減って、目がしょぼしょぼする。肩や首まで張ってくることもあります。

在宅ワークでノートPCに向かった午後も、オフィスで資料を作り込んだ夕方も同じ。近くの画面を見る時間が長いほど、目は静かに疲れていきます。

長く画面に向かう人の多くが感じる、この「目の疲れ」。道具もお金もいらない、簡単な休憩の型があります。

目の疲れは、画面を使う人の半数以上が感じている

まず、これは特別なことではありません。

イギリスのシェパードとウォルフソンが2018年、あるレビューをまとめました。掲載誌は BMJ Open Ophthalmology です。

それによると、画面による目の疲れ(デジタル眼精疲労)は、パソコンを使う人の半数以上にみられます。2016年のアメリカの調査では、大人の65%が症状を感じていたと報告されました。

症状はさまざまです。目の疲れ、かすみ、乾き。頭痛や、首・肩のこりをともなうこともあります。

なぜ画面だと疲れるのか。ひとつは、まばたきが減ることです。

米国眼科学会(AAO)によると、人は通常1分間に約15回まばたきします。ところが画面を見ているあいだは、5〜7回ほどに減るといいます。

まばたきが減ると、目の表面が乾きやすくなります。もうひとつの理由は、近くをずっと見続けること。スマホやノートPCの手元にピントを合わせ続けると、目の筋肉が休みなく働きます。

なお、AAOは「画面を長く見ても目が“永久に”傷つくわけではない」とも述べています。つらくても、こわがりすぎる必要はありません。

「20-20-20ルール」——20分ごとに、遠くを20秒

そこで知られているのが「20-20-20ルール」です。

米国オプトメトリー協会(AOA)は、こう勧めています。20分ごとに、20フィート(約6メートル)先のものを、20秒間見る。

ねらいはシンプルです。近くに固まっていた目を、ときどき遠くへ向けて、いったんゆるめてあげること。

遠くを見るとき、ピントを合わせる目の筋肉は、いちばん力の抜けた状態に近づきます。張り詰めた目に、短い休みを入れる合図です。

下の図が、この休憩の型です。

20-20-20ルールの流れ 画面作業を20分続けたら、20フィート(約6メートル)先を、20秒だけ見る。この3つのステップを終えたら、また最初にもどってくり返す、という目の休憩の型を示した図。 3つの「20」で、目を休ませる 20分 画面を見たら 作業を区切る合図 約6m先 遠くへ視線を移す 20フィート ≒ 6m 20秒 そのまま眺める 目の力をゆるめる また20分たったら、くり返す
図: 20-20-20ルールの流れ——20分ごとに、約6m先を20秒見て、またくり返す(当サイト作成)

見てのとおり、むずかしいことは何もありません。20分・約6m・20秒、という3つの「20」を覚えるだけです。

研究では、症状は和らいだ——ただし続けてこそ

では、本当に効くのでしょうか。

これを実際に試した研究があります。スペインとイギリスの研究チームが2023年に報告しました(Talens-Estarelles ら)。掲載誌は Contact Lens and Anterior Eye です。

目の疲れを感じている29人のパソコン利用者に、専用ソフトを入れてもらいました。ソフトは「20-20-20」のタイミングで休憩をうながします。

2週間使ったところ、休憩の回数が増え、続けて画面を見る時間は短くなりました。そして、本人が感じる目の疲れと乾きの症状が、はっきり軽くなっていました。

ただし、正直にお伝えすべき点が2つあります。

ひとつ。リマインダーをやめて1週間たつと、症状はもとに戻りました。効き目は「続けているあいだ」のものでした。

もうひとつ。涙の量など、目を機械で測った客観的な数値のほうは、はっきりとは変わりませんでした。よくなったのは、あくまで「本人が感じるつらさ」のレベルです。

つまり、20-20-20ルールは目の病気を治す方法ではありません。近くの見過ぎで疲れた目を、こまめに休ませる習慣です。それでも、感じるつらさが和らぐなら、試す価値はあります。

参加者は29人と少なく、1つの研究です。誰にでも同じだけ効くとは限らない点も、あわせて覚えておいてください。

今日から試す「3つの20」

やることは、3ステップだけです。

  1. 画面作業を20分続けたら、いったん手を止める(区切りの合図)
  2. 部屋のいちばん遠く、約6メートル先へ視線を移す
  3. そのまま20秒、目の力をゆるめてぼんやり眺める

コツは、20分を自分で数えないこと。集中していると、まず忘れます。

スマホやパソコンのタイマー、通知アプリで「20分ごと」を鳴らすと続けやすくなります。通知を束ねる工夫は通知を「集中モード」でまとめるも参考になります。

見る先は、その場でいちばん遠い方向を先に決めておきます。オフィスなら窓の外のビルや、向かいの壁のカレンダー。在宅なら部屋の奥やベランダ越しの景色。電車なら、車窓やホームの先。6メートルは目安で、厳密でなくてかまいません。

短く目を休める発想そのものは、40秒だけ緑を見るとも共通します。あちらは注意の回復、この記事は目の休憩、と使い分けてください。

うまくいかないとき・限界

続けても手ごたえがないときは、休憩以外の原因も見直します。

画面が明るすぎる・暗すぎる、距離が近すぎる、姿勢がよくない。AOAは、こうした環境も目の疲れの原因に挙げています。暗い寝室で布団に入り、スマホを顔に近づけて見る。猫背でノートPCをのぞき込む。心当たりがあれば、画面の明るさや位置、姿勢を整えるだけで楽になることもあります。

そして、大切な但し書きです。目の疲れが強い、かすみや痛みが続く、頭痛がひどい——こうしたときは、休憩でしのごうとせず、眼科など専門家に相談してください。見え方の変化は、別の原因が隠れていることもあります。

20-20-20ルールは、あくまで日々の目の使い方をラクにする小さな習慣です。

まずは今日、次に20分たったと感じたら、一度だけ部屋の遠くを20秒見る。帰りの電車でも、在宅の合間でも、始める場所はどこでもかまいません。そこから試してみてください。

体の疲れをためない小さな習慣は、健康の柱でも続けています。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 画面作業を20分続けたら、いったん手を止める合図にする
  2. 窓の外など、約6メートル先の遠くへ視線を移す
  3. そのまま20秒、目の力をゆるめてぼんやり眺める
  4. タイマーや通知アプリで「20分ごと」を思い出せるようにする
  5. つらさが続くときは自己判断せず、眼科など専門家に相談する

出典・参考

  1. Talens-Estarelles, C., Cerviño, A., García-Lázaro, S., Fogelton, A., Sheppard, A., & Wolffsohn, J. S. (2023) The effects of breaks on digital eye strain, dry eye and binocular vision: Testing the 20-20-20 rule. Contact Lens and Anterior Eye, 46(2), 101744 — 目の疲れを感じる29人が2週間、20-20-20の休憩リマインダーを使用。休憩が増えて連続作業時間が短くなり、自覚的なデジタル眼精疲労とドライアイの症状が有意に軽くなった。ただし中止1週間で症状はベースラインに戻り、涙液など客観的な指標は変わらなかった(改善は自覚症状のレベル)sciencedirect.com
  2. Sheppard, A. L., & Wolffsohn, J. S. (2018) Digital eye strain: prevalence, measurement and amelioration. BMJ Open Ophthalmology, 3, e000146 — 画面による目の疲れ(デジタル眼精疲労)はパソコン利用者の50%以上にみられ、2016年の米国調査では成人の65%が症状を報告。20-20-20ルールは米国オプトメトリー協会(AOA)が推奨、と記載pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  3. American Optometric Association『Computer vision syndrome (Digital eye strain)』——「20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を20秒見る」ことを推奨。症状として目の疲れ・頭痛・かすみ・ドライアイ・首肩のこりを挙げるaoa.org
  4. American Academy of Ophthalmology『Computers, Digital Devices and Eye Strain』——通常1分間に約15回のまばたきが、画面使用中は5〜7回に減ると解説。画面を長く見ても“永久的な”損傷は起きないとも記載aao.org

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。