朝型・夜型で変わる一日の時間割——集中の山に合わせて仕事を置く
Focus / Research Digest

朝型・夜型で変わる一日の時間割——集中の山に合わせて仕事を置く

早起きしても午前は頭が回らない——それは根性ではなく体内時計の個人差、クロノタイプかもしれません。休日の眠りから自分の型を見分け、朝型・中間型・夜型それぞれで集中の山に難しい仕事を置く時間割の作り方を、時間生物学の研究からまとめました。

朝9時の会議。大事な議題なのに頭がぼんやりして、発言がうまく浮かばない。

なのに、定時を過ぎた夜のほうが、なぜか考えがまとまる。早く寝ようとしても目が冴える。

これは気合いの問題ではありません。体内時計の個人差(クロノタイプ)が関わっています。

自分の型を知り、集中の山に合わせて一日を組む。その作り方をまとめました。

クロノタイプは「体の時計」の個人差

時間生物学者のホーンとエストベリは、1976年に自己診断の質問票を作りました。掲載誌は International Journal of Chronobiology です。

19問の回答から、その人を朝型・中間型・夜型のどれかに分けます。今も広く使われている物差しです。

大事なのは、この違いが体の生理と対応していた点です。研究では、体温が一番上がる時刻が、朝型ほど早く、夜型ほど遅いと分かりました。

つまり朝型・夜型は、やる気や慣れの問題というより、体内時計のクセ(=個人差)です。責める話ではありません。

ただし注意も要ります。この研究の対象は18〜32歳の学生でした。効きには個人差があり、誰にでも同じ幅で当てはまるわけではありません。

自分の型を見分ける(かんたん診断)

もう一つの見分け方が、休日の眠りの「真ん中」を見る方法です。ロエンネベルクらが2003年に提案しました。掲載誌は Journal of Biological Rhythms です。

今すぐできます。この前の土曜か日曜、何時ごろ寝て、何時に起きたかを思い出してください。

その「寝た時刻」と「起きた時刻」の、ちょうど真ん中の時刻を出します。

たとえば0時に寝て8時に起きたなら、真ん中は午前4時です。

より正確に知りたいなら、次の休みに目覚ましをかけず、自然に寝起きした日で測り直します。まずは記憶からの概算で十分です。

この真ん中が早いほど朝型、遅いほど夜型の目安になります。ざっくりした傾向として、次のように見ます。

  • 真ん中が3時ごろより前 → 朝型寄り
  • 3〜5時ごろ → 中間型(多くの人がここ)
  • 5時ごろより後 → 夜型寄り

これは研究の厳密な区切りではなく、自分の傾向をつかむための目安です。

もう一つの手がかりは、自然に眠くなる時刻と、一日で一番集中できる時間帯です。ここも合わせて考えると、型が見えてきます。

型で変わる、一日の時間割

型が分かったら、集中の山に難しい仕事を寄せます。谷の時間には、軽い作業を置きます。

下の図が、3つの型それぞれの組み方のイメージです。

朝型・中間型・夜型の3つの一日を横棒で並べた模式図。横軸は6時から24時の時間。濃い帯が難タスク(集中の山)で、朝型は午前9〜12時、中間型は午前10〜12時、夜型は19〜23時に来る。会議は各型の午後に、単純作業や立ち上げは山の前後に配置している
図1: 集中の山(濃い帯)は型でずれる。山に難タスク、谷に軽い作業(当サイト作成・模式図)

見てのとおり、濃い帯の位置が型ごとに右へずれていきます。組み方の芯は同じで、山と谷が違うだけです。

朝型なら、企画書づくりや込み入った判断を、始業直後の午前に寄せます。メール返信や打ち合わせは午後に回します。

中間型は多数派です。9時始業なら、午前の後半にピークが来る人が多い。昼食のあとに眠気の谷が来るので、そこに入力や整理などの単純作業を置きます。学生なら、3限あたりの眠気を暗記より演習にあてる、といった具合です。

夜型なら設計が逆です。朝の通勤や1限で頭が立ち上がらないのは無理もない。午前はメール処理やタスクの棚卸しにあて、難しい仕事は夕方以降に寄せます。

どの型でも避けたいのは、一番冴える時間を定例会議や雑務で埋めることです。山は、ほかの時間では代えのきかない資源です。

集中を仕組みで守る発想は集中の技術でもまとめています。

平日と休日のズレ「社会的時差ぼけ」を小さく

多くの人は、9時前後の始業や登校の時刻に合わせて暮らします。

型が夜寄りの人ほど、平日は目覚ましで無理に早起きし、週末は昼近くまで寝だめする。この平日と休日のズレを「社会的時差ぼけ(ソーシャル・ジェットラグ)」と呼びます。

ロエンネベルクらが2006年に名づけました。掲載誌は Chronobiology International です。平日と休日の「眠りの真ん中」の差で測ります。週末の寝だめが大きい人ほど、このズレも大きいと考えられます。

型が夜寄りの人ほど、このズレは大きくなりがちです。ちょっとした時差ぼけを、毎週くり返している状態です。

すべては直せません。でも、動かせる部分から縮められます。

一番効くのは、休日の寝だめを少し控えて、起きる時刻を平日に近づけることです。ズレそのものが小さくなります。

朝の目覚めが弱い人は、体内時計を整えるのが先です。朝の光を浴びる習慣が土台になります。

型は少し動かせる。合わなければ従わなくてよい

型は一生固定というわけではありません。朝の光を浴びる、夜の強い光を控えるといった工夫で、前後に少し動かせます。

ただし、まったく別の型に切り替わるわけではありません。無理に他人の時間割へ合わせようとしないことです。

この考え方が効きにくい場面もあります。

  • 勤務時間や締め切りが固定で、動かせないとき。動かせる小さな仕事から試す
  • 睡眠が足りていないとき。型より先に睡眠を整えるほうが効く。寝る・起きる時刻をそろえるから
  • 効きには個人差がある。しばらく試して変化がなければ、無理に合わせなくてよい

自分のピーク時間を実際に測って確かめたい人は、頭が冴える時間帯に難しい仕事を置くもあわせてどうぞ。

朝が弱い自分を責める必要はありません。まずは今日、この前の休みの寝た時刻と起きた時刻を思い出し、その真ん中を出してみてください。それが、あなたの時間割を組み直す最初の手がかりになります。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 今日、直近の休みの寝た時刻と起きた時刻を思い出し、その真ん中を概算する
  2. その時刻が早ければ朝型、遅ければ夜型寄りと見なす(あくまで目安)
  3. 集中の山にあたる時間帯を1〜2時間、難しい仕事のために空けておく
  4. 山を定例会議や雑務で埋めない。谷の時間に返信・入力・整理をまとめる
  5. 週末の寝だめを控え、休日の起床時刻を平日に近づける

出典・参考

  1. Horne, J. A., & Östberg, O. (1976) A self-assessment questionnaire to determine morningness-eveningness in human circadian rhythms. International Journal of Chronobiology, 4(2), 97-110.(PubMed 抄録・PMID 1027738)pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Roenneberg, T., Wirz-Justice, A., & Merrow, M. (2003) Life between clocks: daily temporal patterns of human chronotypes. Journal of Biological Rhythms, 18(1), 80-90.(出版社サイト)journals.sagepub.com
  3. Wittmann, M., Dinich, J., Merrow, M., & Roenneberg, T. (2006) Social jetlag: misalignment of biological and social time. Chronobiology International, 23(1-2), 497-509.(大学リポジトリ)research.rug.nl

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。